ここ数日、珍しく寒気団が停滞して降雪が続き、日本全体が本格的な冬の寒さに包まれています。朝晩の冷え込みに、つい肩をすくめて家の中にこもりたくなってしまう季節ですね。
けれど、そんな寒い日こそ、私は意識して外へと歩みを進めます。
目的は、単なる運動ではありません。禅の言葉に「知足(ちそく)」という教えがあります。「足るを知る」——つまり、今ここにある幸せに気づき、満たされている自分を再発見すること。
凛とした冬の空気の中で、懸命に生きる野生動物や、寒さに耐えて咲く花に出会うとき、私たちの心は不思議と静まり、本当の豊かさに気づかされます。今回は、いつもの散歩道で見つけた冬の情景とともに、心が整う「知足」のひとときをお届けします。
1. 愛知池:鏡のような湖面が映し出す、冬の静止画
今回は、車を使って、近くの愛知池へ行きました。池と言うより、湖のようで、視界が開け、広大な水面が広がっています。

この日は、冷たい冬の空の特徴が現れ、どこまでも高く、どこまでも澄んでいます。風が止まった瞬間の湖面は、まるで一枚の巨大な鏡のようです。対岸の山々や木々、そして点在する建物を一点の曇りもなく映し出しています。
「静寂」という言葉を形にしたら、きっとこんな景色になるのでしょう。都会の喧騒や、日々の雑多な悩みさえも、この圧倒的な青に飲み込まれていくようです。
遠くに見える企業のビル。普段は経済やビジネスの象徴である場所も、こうして水辺越しに眺めると、自然の一部として調和して見えます。私たちは自然を離れて生きているつもりでも、結局はこの大きな循環の中に生かされている。そんなことを思い知らされます。
命と暮らしを支える「愛知池」の物語
散歩の舞台となったこの大きな池は、「愛知池(あいちいけ)」。正式名称を東郷調整池といいます。
単に眺めが良いだけの場所ではありません。この池(外周は約7.4km。ゆっくり歩けば1時間半から2時間ほどかかる)は、木曽川の水を愛知用水を通じて運び、知多半島や愛知中部の街々へ届けるという、私たちの暮らしの「命綱」としての役割を担っています。1961年(昭和36年)に完成して以来、農業、工業、そして飲み水として、この地域の発展と豊かさを静かに支え続けてきました。
夢を漕ぎ出す、アスリートの聖地
また、愛知池は「ボート競技の聖地」としても知られています。 全国大会や国体の会場にもなる本格的な1,000mコースが整備されており、早朝から学生や社会人のボート部員たちが、風を切って練習に励む姿が見られます。

とても静寂。早朝からボートの練習風景が見られました。
2. 厳寒の中で開く「椿」

椿は、寒い冬に咲く花。
その姿は、厳しい状況にあっても願いや物事が成就することを象徴しています。

道端に目を向けると、この季節ならではの鮮やかな色彩の花が咲いていました。
冬の女王、椿(サザンカ)です。夜に降った雪が、花びらの上を白く染めています。 燃えるような赤と、真っ白な雪のコントラスト。そして黄色い蕊(しべ)。寒さに耐え忍ぶ強さと、その中で美しく咲き誇る誇り高さが見られます。
3. 身近な野生動物たちの「営み」
再び、夜に降雪がありました。早起きをして寒い中を散歩開始、川沿いや水辺に目を移せば、そこには野生動物の営みを垣間見ることができました。

都会の中にも素晴らしい自然があります!
工事中の護岸に並ぶ鳥たち。シロサギやカワウ、カモたちが思い思いの場所で佇んでいます。人間が作るブルーシートや重機といった人工的な景色の中でも、彼らは動じることなく、自分たちの時間を生きています。

橋の上からアオサギ・カワウのハンティング風景を動画撮影
別の日に散歩中、アオサギ・カワウが小魚を捕らえる風景に遭遇しました!橋の上から珍しいアングルで撮影することが出来ました。

浅瀬を静かに、抜き足差し足で歩くアオサギ。首を長く伸ばし、視線は水面の一点に集中しています。次の瞬間、矢のような速さでくちばしを突き出し、見事に獲物を捕らえました。くちばしの先で小魚が暴れています。
また、別の場所ではカワウが潜水を繰り返しています。

又、別の場所では、カワウが潜水を繰り返していました。水面に顔を出したかと思えば、再び深い場所へと消えていく。狩りに成功したのか、くちばしに魚をくわえて水面を泳ぐ姿は、誇らしげでもあり、どこか淡々としています。
4. 散歩の後は、小さな幸せの朝食
散歩の締めくくりは、温かい飲み物と食事。これが、冬の散歩の醍醐味です。
今回はベルスールで朝食を摂りました。この場所、山林の中にあり、雰囲気がとてもよく、工務店が経営しているのでインテリアがとてもオシャレです。


愛知県では、喫茶店でコーヒーを注文するとトーストやゆで卵などの軽食が付く「モーニング」文化が根付いており、手ごろな価格で楽しめます。
- 竹炭のパン: 外はサクッと、中はモチッと。黒い色が冬の土のようでありながら、味わいは温か。
- 熱々のシチュー: ピンク色の小鍋に入れられたホワイトシチュー。一口運ぶごとに、凍えた指先まで熱が染み渡ります。
- 漆黒のコーヒー: 深く焙煎された香りが、冷えた鼻腔をくすぐります。

高級なフルコースでなくても、冷たい風の中を歩き抜いた後のこの一杯のコーヒーと一皿のシチューは、何物にも代えがたい「至福」です。
今日からできる「知足」の小さな練習
「足るを知る」と言っても、難しく考える必要はありません。日常の中で少しだけ視点を変えるだけで、心はふっと軽くなります。
- 五感で冬を感じてみる: 頬に当たる冷たい風、冬特有の澄んだ空の色、枯葉を踏む音。五感に意識を向けるだけで、思考のノイズが消えていきます。
- 「当たり前」を数えてみる: 散歩の後の温かい飲み物、帰る場所があること。失ってから気づく大切さに、今この瞬間に感謝してみます。
- スマホを置いて歩く: 情報を遮断し、目の前の景色だけを見つめる時間を5分でも作ってみてください。
寒さが厳しい冬だからこそ、小さな温もりが心に深く染み渡ります。 皆さんも次の休みの日、あえて少しだけ外に出て、あなただけの「知足」を探してみませんか?

コメント